マイホームを購入して住宅ローンを利用すると「住宅ローン控除」を受けられるということは分かっているけれど、手続きはどうしたらいいのだろう…とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は2023年の住宅ローン控除について、その仕組みと手続きについて解説します。
目次(本記事の内容)
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入・増改築をし、一定の条件を満たしている場合、住宅ローンの年末残高に合わせて所得税や住民税が控除される制度です。
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用すると自動的に適用されるものではありません。利用するには、まず初年度に確定申告をする必要があります。
今回は、新築住宅・中古住宅を取得した場合の内容について、ご紹介します。
住宅ローン控除の要件
住宅ローン控除の利用には、定められた要件を満たす必要があります。
控除を受けるための主な要件
新築住宅・中古住宅を取得した際の主な要件には、以下のようなものがあります。
- 主として居住のための住宅であること
- 床面積の2分の1以上が自分の居住用であること
- 床面積(登記面積)が50㎡以上であること
- 住宅の引渡し又は工事完了から6カ月以内に入居すること
(12月31日まで引き続き居住していること) - 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
- その年の合計所得金額は2,000万円以下であること
- 居住の年の前2年と後3年の合計6年の間に、前住居において3,000万円控除などの特例を利用していないこと
- 金融機関からの借入金であること
- 中古住宅の場合は、1982年1月1日以降に新築された住宅であること、または一定の耐震基準を満たしていることが証明された家屋であること
※所得合計金額が1,000万円以下、2023年12月31日以前に建築確認を受けた新築・未入居住宅の場合は床面積40㎡以上
※勤務先からの借入の場合は年金利0.2%以上
※その他、詳細の要件はこちらをご確認ください。
新築住宅の場合
国税庁:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
中古住宅の場合
国税庁:No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
購入した物件が要件に合ってるか、事前に確認してきましょう。
控除額一覧(2023年入居の場合)
購入した住宅の種類によって、控除される金額や条件が異なります。
今回ご紹介するのは2023年に入居した場合の控除額です。要件や控除期間は年度ごとに改正されますので、ご注意ください。
新築住宅の場合
新築住宅の場合、控除率は0.7%、控除期間13年間です。
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 年間最大控除額 | 期間合計最大控除額 |
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 0.7% | 35万円 | 455万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 31.5万円 | 409.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 0.7% | 28万円 | 364万円 |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 21万円 | 273万円 |
中古住宅の場合
中古住宅の場合、控除率は新築と同様の0.7%、控除期間は10年間です。
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 年間最大控除額 | 期間合計最大控除額 |
長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 21万円 | 210万円 |
その他の住宅 | 2,000万円 | 0.7% | 14万円 | 140万円 |
確定申告に必要な書類とは
住宅ローン控除を利用するためには、マイホームを購入して住宅ローンを利用した翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告時に必要な書類
住宅ローン控除を受ける際に初年度に必要な書類は、以下のものが挙げられます。
必要書類一覧
- 確定申告書(税務署も即は国税庁HPで取得可能)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署も即は国税庁HPで取得可能)
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
- 建物・土地の「登記事項証明書」(法務局で取得可能)
- 建物・土地の「不動産売買契約書」や「工事請負契約書」の写し
- 源泉徴収票(勤務先から発行)
- 住宅ローンの「年末残高等証明書」(住宅ローン借入先銀行より郵送)
認定住宅や一定基準を満たす住宅の場合は証明書も必要
認定長期優良住宅か認定低炭素住宅を購入・建築した場合は、証明書を提出する必要があります。契約した不動産会社や住宅会社から「長期優良住宅認定通知書」または「低炭素建築物新築等計画認定通知書」と「住宅用家屋証明書」等を入手しておきましょう。
また、中古住宅を購入した場合は、契約した不動産会社等から「耐震基準適合証明書」または「住宅性能評価書」を入手しましょう。
確定申告の時期や提出方法は?
確定申告期間は原則、入居した翌年の2月16日から3月15日までです。
申告書の作成・提出は最寄りの税務署や申告会場で行うことができます。
また、提出については以下のいずれかの方法が可能です。
- 税務署へ持参する
- 税務署へ郵送する
- e-Taxでオンライン申請する
国税庁のサイト上で申告書を作成し、そのままインターネット上で申請できますし、サイト上で作成した申告書を税務署に持参・郵送することも可能です。
また、提出先に関しては居住地によって、管轄する税務署が異なりますので、国税庁ホームページで検索できます。事前に確認しておくと安心です。
→管轄エリア検索はこちら
2年目以降は確定申告不要
一度確定申告を行い、住宅ローン控除が適用になると、2年目以降から確定申告は不要となり、勤務先で行う「年末調整」で手続きが可能となります。
入居から2年目以降は、毎年10~11月頃に税務署から「住宅借入金等特別控除申告書」「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」、金融機関からは住宅ローンの「残高等証明書」が送られてきます。
これらの書類を会社の年末調整の際に提出します。
※但し、個人事業主やフリーランスの方など毎年確定申告を行っている方は、2年目以降も確定申告での手続きが必要となります。
まとめ
申告書の作成や書類の準備は難しそう…という印象を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。確定申告に関する分からないこと・不安なことは、税務署の担当者へ相談しましょう。不備のない申告手続きができるようサポートしてくれます。
確定申告はスムーズに手続きを終えられるよう、なるべく早く書類の準備や手続きを行いましょう。